モデルカーをつくる – Agoraの流儀
Agoraが実車に忠実なモデルカーを制作する手順とは?
最初の段階では、モデルのベースになる車両を見つける。どの車両の、どのバージョン、シリーズからモデルを制作するかを決定したら、世界中のコレクターや博物館にしらみつぶしに当たり、目当ての車両の実車を見つけ出す。そしてオーナーの許可を得て(!)、最新技術を操る3Dレーザースキャンの専門家を派遣し、実車のすべての構成要素を綿密にスキャンする。
それと同時に、メーカーのアーカイブから、モデル設計者の助けとなるようなオリジナルの図面や青写真を見つけ出す。生データが出そろったところで、コンピュータで実車を詳細にモデリングし、それをまた一つひとつの構成要素に分解していく。これにより、モデルの各要素をどのように構成すべきかを可視化し、パーツを供給する順序を決定する。
金型の設計
金属、ゴム、精密プラスチックなど、素材が何であれ、パーツはすべて最高品質の金型を使用して製造される必要がある。この金型製作自体が、いわば匠の技なのだ。ここでも、再度コンピュータでのモデリングが行われる。前段階のコンピュータモデリングから提案された構成要素に基づき、金型を設計していく。この工程には35日を要する(完璧を期するため)。
下の写真に映った3つの金型を見ても分かる通り、Agoraの金型は大きく、重い。軽く1トンを超える重量のものもあり、工場内で持ち上げて移動するにはウィンチが必要だ(そのため、写真の金型のうちの2つからは銀色の丸いフックが突き出ている)。写真の中の一番大きな金型は、スーパー・スネークのボディシェルのみを成形するのに使用され、一度に1つを約30秒かけて成形する。
1つの金型の重量が1トン以上になることもある
モデルには500ほどのパーツがあるため、同じ金型で複数のパーツを成形できたとしても、大量の金型が必要になる(1つのモデルにつき約200個)。金型の内部はどのようになっているのだろうか?以下の写真は、金型の内部を示している。タイヤの形がはっきりと見てとれる(これはスーパー・スネークの金型ではないが、じきにあなたの手元に届き、組み立てられることになる製品のものだ!)。
最後に、金型製作の重要ポイントについて:金型製作にあたっては、長年の経験で培われた設計・工学スキルが必要だ。写真で示した金型1つだけを作ればいいというわけではなく、この特定の金型で成形したパーツが、他の金型で成形したパーツとぴったりはまることが重要なのだ。最終的に完璧なモデルをつくりあげられるよう、それぞれの金型は工学的に完璧な構造物として機能しなくてはならない。
モデルのパーツの成形
金属の塊を溶かして液状にし、金型に圧入する。
金型の形に成形されたら、急速に冷却する。その後、ロボットアームが1度に1つずつパーツを取り出す。
品質検査を経て、パーツは研磨工程へとまわされる。研磨工程では、表面のざらつきが除去される。パーツ全体が磨き上げられたら、次は塗装工程へ。
モデルのパーツをつくる
モデルのパーツの塗装
形状の複雑さや細かい部分がどのようになっているかによって、パーツの塗装方法はさまざまだ。ボディなどの大きめのパーツは、一つひとつ、手作業でスプレー塗装。細かなパーツは複数個をまとめて塗装する。
スプレー塗装はもちろん手間のかかる作業だが、仕上がりは抜群だ。微細な部分やテキスト、ロゴはスプレー塗装できないので、小さな印刷機が並んだラインでスタンプする。それぞれの印刷機が最終デザインの特定の部分のみを担当している。手作業で一つひとつ塗装しなくてはならない細かな個所では、テンプレートも使用する。
時間をかけて精巧に
最初の構想から工場で製品ができあがるまでの期間は約12か月。慎重に計画をたてるところから始まり、世界中の腕利きの専門家が設計したAgoraの高品質モデルが購入者の手元に届く。購入者もその出来に満足してくれることだろう。
昔堅気の手仕事も健在
3Dレーザー技術を用いたり、コンピュータを駆使した設計をしていても、実車に立ち戻り、このページのトップ画像のように、昔ながらの巻き尺を使って寸法を再チェックするときもある。シェルビーのモデルでは、実際に、このやり方でタイヤの寸法をチェックした。