モデルのスケールの比較
あなたのモデルのスケールは? 1/43から1/8までを概説
1/8スケールでどれほど細部を再現できるか、そして1967シェルビー・スーパー・スネークでAgoraモデルが1/8スケールを選んだ理由とは?
1/8スケールで何が可能になるかを具体的に知るために、1/43、1/38、1/18という3つの異なるスケールのモデルを購入し、1/8スケールと比較した。公平な比較を行うため、それぞれのスケールに適正な価格で同じ業者から3つの標準的なスケールモデルを選ぶ必要があった。また、白のカラーリングに青のストライプがあしらわれたマスタングのモデルも選んだ。
4つのスケールのスーパー・スネークとシェルビー・マスタング
(もちろんスーパー・スネークは世界に1台しかなく、そのスケールモデルもそれほど多くなかったため、1967シェルビーGT500とGT350のスケールモデルで代用した)
それでは見ていこう。
1/43スケール
1/43スケールのシェルビーGT350
1967GT500の1/43スケールモデルは見つけることができなかった。代わりに1967GT500(つまりスーパー・スネーク)の前身の一台、1965シェルビーGT350(三角窓ではなくルーバーを装備)のモデルを入手した。
まず色が気になった。
初期のシェルビー・マスタングを象徴する柔らかなウィンブルドンホワイト(1965年式のすべてと、1966年式の約40%にこのカラーリングが施された)ではなく、よりはっきりした白に塗られていた(実車ではこのような白が標準になったことはなかった)。
私たちはウィンブルドンホワイトとガードマンブルーの組み合わせに見慣れていたため、この白はシェルビー・マスタングに似つかわしくないように思えた。
色の次は、このモデルがどれほど細部まで再現しているか確かめてみよう。
例えば、後部の「350GT」という小さな文字(もちろんシェルビーのファンなら、実際は実車には「G.T.350」と書かれていることは知っているだろう)、正確に再現された5スポークのホイール、グリルメッシュ上の小さなマスタングのディティールは、なかなかいい味を出している。
GT350の後部。このスケールでも燃料タンクキャップにはコブラのエンブレムがあしらわれている!
ボンネットピン(1/38スケールモデルでは再現されていない)は、単なるくぼみで表現されている。メーカーはエアインテークに本物の穴をあけることはできたが、それは丸みを帯びており、GT500のものとは形状が異なる。
興味深いことに、このモデルには両側のドアに鍵穴まである(ドアハンドルの下)。1/38スケールモデルだけでなく、1/18スケールモデルにもみられないディティールだ(実際1965年に、フォードは自動車メーカーとして初めてリバーシブルキーを採用した)。
なかなか気づきにくいコブラのロゴをあしらい、燃料タンクキャップを正確に再現しようという努力は買ってもいいが、マスタングと区別するためのこの燃料タンクキャップが採用されたのは1966年からだ。1965年式には、まだ有名なギャロップするマスタング(野生馬)のロゴが付いており、モデルはもちろん1965年のマシンをベースにしている。
時系列の不正確さでマイナスポイントとは残念。
このスケールではドアが開かないため、シフトレバーは見えるものの、内装のディティールはなくてもいいように思う。ただ、シートのクッションは1965シェルビーGT350のスタイルを忠実に再現しているようだ。
1/38スケール
1/38スケールでは、1965GT500のモデルを見つけることができた。形状はもちろんGT350とは異なるが、やはりこのモデルも1/43スケールと同様に色の再現に問題がある。
1/38スケールのGT500のホイール
1/38スケールのシェルビーGT500
サイドとメッシュにはシェルビーのディティールがあしらわれ、後部のバッジには「Shelby Cobra」の文字。この文字を読むには虫眼鏡が必要だろう。
奇妙なことに、ホイールは正確に再現されていない。シェルビーは通常5~10スポークのホイールを採用しているが、このスケールモデルは12スポークのホイールを採用しており、オリジナルのマシンを忠実に再現していないようだ。
このスケールでは、ドアを開けるとメーターパネル、シフトレバー、ハンドルなどの内装のディティールが露わになる(1/43スケールでは、メーターパネルは再現されていない)。このような小さなスケールのモデルによく見られる問題だが、ドアヒンジが大きすぎるためペダルはない。
そしてサイドミラーは(1/43スケールモデルの)初期の「弾丸」型と、(1/18スケールモデルと1/8スケールモデルの)「リモート」型の間をとったような形をしており、残念なことにどちらにも忠実ではない。このような取り付け方では、ウィンドウとベントの間のフレームが邪魔して、ドライバーの視界は完全に遮られてしまうだろう。
最後に、リアル感を出すためか、後部座席に3つのスーツケースが不自然に加えられている。折り畳み式の後部座席を見せるためか。
1/38スケールモデルと1/43スケールモデルではディティールに大差はない。
1/38スケール
1/38スケールの2倍を少し上回るこのスケールモデルでは、ディティールも実物に近いものになってくる。ガードマンブルーであるはずのストライプが、まだ発色が悪く少しがっかりだが、ウィンブルドンホワイトはよく再現されている。
ディティールが本物らしくなってきた。(1/38スケールで目を引く)ウィングのシェルビーの小さな転写シールは心持ち高く配置され、ナンバープレート上部の「California」がいいアクセントになっている。ウインカーはオレンジ色だ(1/38スケールではグレーだった)。
1/18スケールでは、GT500も本物に近くなってくる
ボンネットピンはクロムめっきで仕上げられている(恐らくボンネットが開かないため、ランヤードはない)。サイドミラーは「リモート」型で、正しい位置に配置されている。タイヤはグッドイヤータイヤのディテールの5スポークのゴム製。センターキャップのディティールも完全に再現されている。
1/38スケールモデル同様、2つのドアは開閉するが、内部のディティールはより精巧だ。ペダルが3つあり、木製のハンドルが正しいカラーリングで忠実に再現され(本物の木だ)、赤単色だが、消火器のレプリカまである。座席とドアの内側は銀色でトリムされ、シートベルト(中実のプラスチック)も加わり、リアル感が増している。
1/18スケールのマスタングの内部。ディティールがはっきりと分かるレベルになった
表面のディティールはすべてよくできているが、忠実に再現されている部分はこれですべてである。
ボンネットもトランクも開けることができない。2本のネジ(バックミラーを固定)が内装のルーフから見える。またマシン下側では、エキゾーストパイプとマフラーはグレーに塗装され、排気管はクロムめっきを施してあるが、それ以上のディティールは再現されていない。
燃料タンクやサスペンションアームのようなパーツは成形されているため、ここでも表面的な再現に留まる。台座に取り付けるための4つの大きなネジ穴はリアル感を高めることにはつながらず、底部に書かれた「Shelby Mustang GT500 1/18」の文字も同様である。
1/8スケールと1/18スケールのシェルビー・マスタングのモデルの底部
1/8スケール
最後にAgoraの1/8スケールモデルを見てみよう。カラーマッチング技術により、象徴的なウィンブルドンホワイトとガードマンブルーを忠実に再現している。
ボンネットピンとランヤードを備えたスーパー・スネークのボンネット
このモデルは、オリジナルのマシンのスキャンに基づきつくられた。Agoraチームのメンバーが220万ドルのスーパー・スネークを管理するラスベガスのシェルビー・アメリカンを実際に訪れている。各パーツは可能な限り精巧につくられている。現在残っているサンダーボルトタイヤはスーパー・スネークのために存在しているようなものだ。正確な寸法を得るため、巻き尺を使って手作業で計った。
天井内張りはビニールに見えるように、1967年の日付がスタンプされた消火器の色も完全に再現した。メーターパネルでも、すべての数字が読み取れる。
1/8スケールのスーパー・スネークのグリル
1/8スケールモデルでは、燃料タンクのキャップも開けられる
シートベルトはナイロンのような感触。
トランクを全開すると、スペアタイヤがお目見え。
後部座席は折りたたんで、荷物の収容スペースを広げられる。
微細なディティールまで正確に再現。
照明は点灯し、本物さながらのエンジン音が響き渡る。
ボンネットを見ると、ベントにはちゃんと穴があり、ボンネットピンと取り外し可能なランヤードを備えている。このボンネットを開けると、「すべての427の母」、427GT40MKIエンジンが忠実に再現されている。このマシンの名前の由来で、まさにスーパー・スネークをスーパー・スネークたらしめている「蛇の束」のような排気システムもそのままに。
427 GT40 MKIIエンジン
1/8スケールのスーパー・スネークのバッジ
1/8スケールのスーパー・スネークのキャビン
この大型スケールでは、電気系統もきちんと作動するようになっている。ブレーキペダルを踏むと実際にブレーキランプが点灯するし、ハンドル中央のホーンボタンを押すとクラクションが鳴る。
機械系統の構成部材の品質も段違いだ。ハンドルを回すと、それに連動して前輪が左右に動く。1/38スケールモデルとは異なり、ドアヒンジのサイズのバランスが良く、前述したようにボンネットピンも実車に忠実に再現されている。
4つのスケールの1967シェルビー・マスタング
このスケールでは、細かなところまで実物に限りなく近く再現できる。
スーパー・スネークは工業技術と自動車設計の賜物であり、今後もそうあり続ける。それを存分に堪能できるのは、1/8スケールならではの楽しみだ。